目次
1. はじめに
本記事では、Pythonを用いて線形代数問題を解く一つの例として、クラメル法(Cramer's Rule)による連立一次方程式の解き方を紹介します。その数学的背景からPythonでの具体的な実装まで詳しく解説します。
2. クラメル法とは何か
クラメル法(Cramer's Rule)は、行列と行列式を用いて連立一次方程式の解を求める手法です。行列Aが正則(逆行列が存在する)である場合に限り適用可能です。
3. クラメル法の数学的背景
n変数からなる連立一次方程式が以下の形で与えられたとします。
Ax = b
ここでAはn×n係数行列、xは未知ベクトル、bは定数ベクトルです。この時、各未知数xi (i=1, ..., n) の値は以下のように求められます。
xi = det(Ai) / det(A)
ここでAiはA中第i列目をbに置き換えたもの、det()関数は行列式計算関数です。
4. Pythonでの実装例
Pythonではnumpy
パッケージ中のlinalg.det()
関数を使用して行列式計算し、また配列操作も容易なため、クラメル法による連立一次方程式解析が可能です。
以下サンプルコード:
import numpy as np def solve_cramers_rule(A, b): det_A = np.linalg.det(A) if not np.isclose(det_A, 0): n = A.shape[0] x = np.empty(n, dtype=float) for i in range(n): Ai = A.copy() Ai[:, i] = b x[i] = np.linalg.det(Ai) / det_A return x else: return "行列Aは正則ではありません。" # 連立一次方程式の係数行列と定数ベクトル A = np.array([[2, -1, 5], [1, 1, -3], [2, 4, 1]], dtype=float) b = np.array([10, -2, 1], dtype=float) # クラメル法で解を求める x = solve_cramers_rule(A, b) print(x)
このコードでは、まずnumpy.linalg.det()
関数を用いて行列AとAiの行列式を計算し、クラメル法に基づいて未知数xiを求めています。また、係数行列が正則でない場合(つまり逆行列が存在しない場合)にはエラーメッセージを返すようにしています。
5. 結論
クラメル法は連立一次方程式の解析的な解き方であり、Pythonではnumpyパッケージを使って容易に実装することが可能です。本記事がクラメル法やその他の線形代数問題への理解や実装方法について参考になれば幸いです。