目次
1. 行列の標準形とは
行列の「標準形」は、ある行列をより扱いやすい特定のフォーマットに変換することです。その中でも、ジョルダン(Jordan)標準形は非常に重要なものです。ジョルダン標準形では、対角化可能な場合だけでなく対角化不可能な場合でも扱うことが可能になります。
2. ジョルダン標準形の特徴
ジョルダンブロックが並んだブロック対角行列がジョルダン基底による表現であり、このような表現を持つ行列が「ジョルダン化」されたものです。各ブロック(Jordan Block)内では、固有値から一つずつ小さくなるようなユニットブロック(Unit Block)が連鎖的に並んでいます。
3. Pythonを使ったジョルダン標準形へ変換する手順
PythonではSymPyライブラリを使用して簡単に行列演算やその他高度な数学的演算を実施することが出来ます。以下ではSymPyライブラリー内部関数jordan_form()
を用いて与えられた行列からそのジョルダン基底へ変換する手順を示します。
from sympy import Matrix def calculate_jordan_form(matrix): # 行列オブフェクト作成 m = Matrix(matrix) # ジョーダン基底の計算 P, J = m.jordan_form() return P, J
4. コード例: Pythonでのジョルダン標準形の実装
以下に、Pythonでのジョルダン標準形の実装例を示します。
from sympy import Matrix def calculate_jordan_form(matrix): # 行列オブジェクト作成 m = Matrix(matrix) # ジョルダン基底の計算 P, J = m.jordan_form() return P, J # 使用例: matrix = [[2, 1, 0], [0, 2, 0], [0, 0, 3]] P, J = calculate_jordan_form(matrix) print("Original matrix:") print(matrix) print("Jordan matrix:") print(J) print("Transformation matrix:") print(P)
このコードでは、与えられた行列をMatrix
オブジェクトに変換し、jordan_form()
関数を使用してジョルダン標準形を計算します。計算結果として、ジョルダン標準形の行列J
と変換行列P
が得られます。
5. まとめと参考文献
以上が行列の標準形であるジョルダン標準形についての説明とPythonでの実装方法です。ジョルダン標準形は、行列の特定の形式への変換により、行列の性質や特徴をより理解しやすくするために使用されます。
参考文献: - Gilbert Strang. (2006). Linear Algebra and Its Applications. - Sympy Documentation: https://docs.sympy.org/latest/index.html